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がお休みです。営業時間は12:00〜19:00です。

日曜日と祝日は18:00までの営業です。

“Farmers Table” in Seattle by Yuri Nomura

 

TEXT: Yuri Nomura
Photo: Jim Henkens

シアトルときいてすぐイメージするものは何だろうか?
seattleマリナーズ、スターバックスに始まるcafe文化、アマゾンに、グーグルIT。。。。
そんな思いがあった私に、今seattleの食文化がとっても動きがあって面白いから一度サンフランシスコばっかりいっていないでこっちに来ない?というお誘いを受けた。
そこで今回のeatripのテーマはfarmers  tableとなづけ、出かけることに。

待ち構えていたのは二つのレストラン。
一つは古い倉庫を改装してできたmerlose marketという中にあるレストラン ”Sitka & Spruce"。このmarket コンセプトがいい。
その倉庫には肉屋、チーズ屋、ワイン屋さん、花屋さんが入っている。
その日もちょうど農場から丸一頭の牛が運ばれてきて解体を始めたところである。
実に新鮮だし種類も豊富全て地元North Westのもの。もちろんチーズもワインも。。

その一番置くにMattが経営するレストラン“Sitka & Spruce"がある
"OPEN"という言葉を最近よく耳にするけど、正にキッチンから倉庫から全てがopen。もちろん食材の仕入れもopenで
Mattが自分で持っている近くの島の農場からのものが中心。

海に近いほとんど島国といっていいのではと思うワシントン州の中心シアトルは魚介だけでなく肉も野菜も豊富である。
それをすごくシンプルに火を使いながら調理していく。満席のお客さんからの満足感から生まる気持ちで満たされている。お腹は一杯でもお店を後にしても気持ちは爽やかである。お店をチェックしにほぼ毎日来ているMattに話をいろいろ聞くと日曜日の朝に朝食を作ってあげるから農場にみにいらしゃい!と言われる。喜んで!

また次の日もキッチンの横の特等席を確保して再度お店の味を肌で口で確認してからchefのKyerと一緒にフェリーにのってMattの農場を訪ねた。
そこには予想以上の大きさの畑が広がってて、まだ未完成だけどとあちらこちらに大工仕事かのこっている部分がありながら野菜畑、果物畑、鶏、羊、牛、豚がいきいき生きていた。
その中心に家と建築途中のゲストハウスが待ち構えていた。
羊や牛にも名前をつけて世話をするMatt。

でも全て人々の胃袋に消えていく環なのだけれど、何故か不思議と肉もきっちっと頂きたくなる気持ちになる環境だった。芝生の上でMattが作ってくれた採れたての卵で作ったスクランブルエッグズッキーニサラダ、そして近くでとれた蜂蜜をつけながらパンをかじりそんな気持ちになった。

Mattは既に、2つのレストランをseattleに持ち連日人々で賑わう人気店と同時にその手腕が一目置かれている存在だ。二つ目の家も隠れ家のようなフリーウェイの下にある古い一軒家を改装したもので庭には沢山の種類の野菜とハーブがすくすくと育ち、まるで秘密の花園に訪れているような錯覚になった。
37歳のMatt。これからもっともっと島の自分の農場を充実させてその作物を欲しいと思う人達にわけれるコミュティーを作っていきたいそう。地元で育ち地元を愛しそこで自分が一番よいと思う環境を作りあげて

人と繋がっていく彼の胸板はタゥーだらけでまっちょ、そんな彼の目はとても優し色をしていた。
旅が大好きで色々な市場に訪れてみたいという。

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今回写真を頼んだJimは、これまた地元を愛する地元生まれの背が高い写真家。
jimが最近島に100年前の古民家を借りて全部自分達の手でゆっくり改装しながら住んでいるから是非遊びにきてと誘ってくれた。島はほとんど バンクーバに近くまで北にあがったLumiiという島、三日月の形をしたようなこの小さな島でまた予想外なレストランが待っていた。

Swillow Inn オーナーのライラーは日本から始めての取材だよといいながら島をモーターサイクルにのりながら早速案内してくれた。100年以上たつ建物を改装したコテージ達、島のいたるところからみえる静かな入り江の海は穏やかで太陽でキラキラと光る。時折サーモンが飛び跳ねたりシャチのしっぽがみえたりする。、ライラーは10年前にこの島に移り住んできた。

最初田舎過ぎて飽きるかと思ったけどとんでもない。みてこの信じられないくらい美しい景色を。
しかも毎日表情を変えるんだよ!飽きるはずがないじゃないと61歳にして少年のように島の魅力を興奮して話してくれる。ホテルから五分のところに自分の住居と畑があった。独学で学び始めた畑は太陽の光を浴びながら自由にすくすくと育ち遠くからみると大きな自然の花束のようにもみえた。宿のレストランで使われる野菜は全てここから運ばれる。
熱く説明してくれるライラーの話を聞いていると鶏が元気よく目の前を走り抜けていった。

”あ~ぁ 僕は死ぬ前になにが食べたい?って言われたら絶対美味しいチキンチキンが食べたい!と天をあおいでいた。
これこそイキイキ生きるパワー。
その後ボートを出して
自分のもともとやっていたサーモン漁をみせてくれた。
今朝は170匹も採れたんだよ!って。
ライラーの漁方は1960年代から続くく網業で
採る期間を決め採れ過ぎたり使用しない魚は海に戻していくサスティナブルを守り続けているもの

そういえばJIMも夕食はこの一ヶ月しか採ることを許されていない蟹にするんだと
籠をもって海に出かけていった。

安全なものを食べたい。
何が食べたい?でなくて、自分達で育て採れる範囲のものを食べる。
そのプロセスから楽しみ最大限に調理して味わう美味しさを体中で感じた。

そしてレストランのお味は?って?
これがまたびっくり
今世界で話題のデンマークのNOMAでセカンドシェフを努めていた若干25歳のシェフが作る
完璧な世界の料理でした。



デンマークに行かないでseattleのlumimiというのどかな島で最先端の料理を体験できたんなんて。
そのギャップがまた衝撃だった。
自然の美しさを体中で感じ黄金に輝く夕日をみながらまたラリーが隣りにやってきた。
最高でしょ。
と。
明日は島に彼女が三時に遊びにくるから、その前にまた隣りの無人島にボートをだしてつれていってくれると約束して帰っていった。

seattle
料理の手法の矛先は違う2店舗だったけど
オーナの二人は自ら毎日畑に家畜に汗を流し
手は土いじりをしている人の特有の厚くがっしりをした手だった。

帰り道
そこら中に生い茂っている
ブラックベリーを車をとめては口にほうばってフッと考えてみた。
やっぱり食べるために人は生き。
生命を側に感じながら生きる。
それが美味い。
farmers tableはそんなことを感じられる食卓なのだと思う。

*シアトル紀行については、本日11月7日発売のHanakoに掲載されております。もしよろしければ見てみてください!